ルールを知らない箱が、勝ち始めた
「AIの仕組みと使い方」のレッスン 1 / 17・約4分
1961年、マッチ箱とビーズだけで三目並べを覚える機械が作られました。その仕組みが分かると、ChatGPTや絵を描くAIが魔法ではない理由まで説明できます。
このレッスンで学ぶこと
- AIの「学習」とは何か
- ChatGPTも絵のAIも、同じ仕組み
レッスンの内容
AIは魔法?
ChatGPTは自然に会話でき、絵や曲も作れます。まるで魔法のようですね。
でも中身はシンプルです。60年前のマッチ箱の機械を見れば分かります。
マッチ箱で三目並べ

1961年、研究者のドナルド・ミッキーは約300個のマッチ箱で三目並べを指す機械を作りました。
箱1つが盤面1つです。中のビーズを1つ引き、その色のマスに打つだけ。ルールは誰も教えていません。
でたらめから、強くなる
勝った手のビーズを増やし、負けた手のビーズを減らします。対戦を重ねると、初手の箱のビーズと勝率はどう変わるでしょう。
これがAIの「学習」
勝った手を増やし、負けた手を減らす。これだけで、マッチ箱の機械は勝てるようになりました。
結果をもとに偏りを直すこと。これがAIの学習で、作戦を理解したわけではありません。
○か✕か
○か✕か:対戦を重ねたマッチ箱の機械は、三目並べの作戦を理解したうえで打っている。
答え:✕。変わったのはビーズの数だけです。勝ちやすい手が引かれやすくなっただけで、なぜ強いのかは機械のどこにも書いてありません。
入れると、出てくる
今のAIも、入力に応じた答えを返す箱です。写真と「ねこ」の組を大量に見せます。
すると、ねこに共通するパターンが残ります。耳の形を教えた人はいません。
次の一言は?
問題:仕事のメールで「いつもお世話に」と打ちました。次に来る言葉で、一番自然なものはどれでしょう。
- いたしております
- なっております(正解)
- ございます
解説:文法を意識せずに選べたはずです。見慣れた並びから、次に来そうな言葉を選んだだけ。ChatGPTも同じ仕組みです。
次の一言を当て続ける
ChatGPTに入れるのは、ここまでの文章です。次に来そうな言葉を選んで足し、また次を予想します。
これを繰り返して文章を作るAIを大規模言語モデルと呼びます。ChatGPTの正体はこれです。
写真を拡大すると
絵を描くAIはどうでしょう。スライダーで点を大きくすると、夕焼けの写真が数字のついた四角に変わっていきます。
絵も音も、数字の並び
写真は小さな点の集まりで、点1つは赤・緑・青の3つの数字です。この点を画素と呼びます。
音も、波の高さの数字の並び。数字の並びなら、文章と同じく例からパターンを覚えられます。
AIの正体
- マッチ箱の機械は、勝った手を足し、負けた手を減らすだけで強くなった
- 結果から偏りを直すのが学習。作戦を理解したわけではない
- ChatGPTは、ここまでの文章から次に来やすい一言を選び続けている
- 絵も音も数字の並び。同じように、例からパターンを覚えている
総仕上げ
問題:AIは魔法ではない、と言えるのはなぜでしょう。
- 人が書いたルールのとおりに、答えを出すから
- 例から覚えた偏りで、次に来やすいものを出すから(正解)
- ネット上の答えを、すばやく探してくるから
解説:お疲れ様でした。AIは見た例のパターンから、次に来そうなものを出しています。では、例がないこと、たとえば「あなたの会社の来月の予定」を聞いたらどうなるでしょう? 次のレッスンで確かめます。
用語
- 学習(Learning)
- 結果をもとに、当たる方向へ少しずつ偏りを直すこと。ルールを教わるのではなく、例から覚えます。
- 画素(Pixel)
- 写真を作る小さな色の点。1つの点は、赤・緑・青の強さを表す3つの数字でできています。
- パターン(Pattern)
- たくさんの例に共通して現れる傾向。
- 大規模言語モデル(LLM (Large Language Model))
- 大量の文章から学び、ここまでの文章の次に来やすい言葉を予想するAI。ChatGPTの正体です。