動いている物は、止まらない
「物理のすべて」のレッスン 1 / 6・約2分
新幹線の中でジャンプしても、なぜ同じ床に着地できるのか。物理のいちばん最初の法則を、2分で体験します。
このレッスンで学ぶこと
- 動いている物は動き続ける
レッスンの内容
新幹線の中でジャンプすると?
時速285キロの東海道新幹線。その中でジャンプすると、0.4秒浮いている間に車両は約30メートル進みます。
それでも着地は跳ぶ前と同じ床。この「なぜ」を少ないルールで解くのが、物理です。
走る電車でボールを投げると
問題:一定の速さで走る電車の中で、ボールを真上に投げました。ボールはどこに落ちてくるでしょう。
- 投げた手の真上から、そのまま手元に落ちてくる(正解)
- 電車が進む分だけ、手より後ろに落ちる
- 電車に押されて、手より前に落ちる
解説:ボールも、手を離れる前は電車と同じ速さで前へ進んでいました。その速さを保ったまま上下するので、空中でも電車から遅れません。ジャンプしたあなたと同じです。
動いている物は、動き続ける
ジャンプする前、あなたの体は新幹線と同じ速さで前へ進んでいました。床から足が離れても、その速さは消えません。
動いている物は、何もされなければそのまま動き続ける。この性質を慣性といいます。
同じジャンプを、2つの目で
同じジャンプを、車内と外の2つから見ています。本人と薄い影のどちらが元の床に戻るかを目で追ってください。
○か✕か
○か✕か:物が同じ速さで動き続けるには、誰かが押し続けていなければならない。
答え:✕。地上では床や空気がこすれて動きを削るため、押し続けないと止まります。勘違いしやすいですが、止める物がなければ、押さなくても同じ速さで進み続けます。
では、月は?
ボイジャー1号は止まらない
床に転がしたボールが止まるのは、床がこすれてブレーキがかかる摩擦のせいです。
摩擦のない宇宙では、1977年に打ち上げた探査機ボイジャー1号が、いまも秒速約17キロで飛び続けています。
物理の最初の法則
- 新幹線でジャンプしても同じ床に着地する。体が新幹線と同じ速さで進み続けているから
- 動いている物は、何もされなければ動き続ける。これが慣性
- 地上で物が止まるのは、床や空気の摩擦がブレーキをかけているから
総仕上げ
問題:地球や太陽から遠く離れた宇宙空間で、宇宙飛行士がボールを軽く投げました。このボールはその後どうなるでしょう。
- だんだん遅くなって、やがて止まる
- 同じ速さで、まっすぐ進み続ける(正解)
- 押す物がないので、その場でふわふわ漂う
解説:止める物がなければ、投げた速さのまま進み続けます。おつかれさまでした。このコースでは、引力、エネルギー、電気と光、相対性理論、量子の世界まで、物理の大きな法則を5本で体験します。最初は、月がまっすぐ飛び去らない理由からです。
用語
- 慣性(Inertia)
- 動く物は動き続け、止まる物は止まり続ける性質。外から邪魔されなければ今の状態を保ちます。
- 摩擦(Friction)
- 触れ合う物どうしがこすれて、動きにブレーキをかける働き。床の上のボールが止まるのもこのためです。