でたらめな数字は、砂嵐になる

「画像生成AIの仕組み」のレッスン 2 / 8・約6分

写真が数字なら、数字をでたらめに並べれば絵になるはず。でも出てくるのは毎回テレビの砂嵐です。「絵らしい数字の並び」がどれほど珍しいかを体験します。

このレッスンで学ぶこと

  • でたらめな数字が絵にならないのは、絵らしい並びがとても珍しいから

レッスンの内容

色は、3つの数字の混ぜ方

スマホの写真は、画素という小さな色の点の集まりです。点1つは赤・緑・青の光の量を表す3つの数字で、どれも0〜255。

赤255・緑140・青0ならオレンジ。混ぜ方は約1677万通りあります。

でたらめに決めたら?

画像生成AIは、言葉から絵の数字を計算して決めています。縦横1024点の絵なら、数字は約300万個。

でも計算しなくても、数字をでたらめに決めれば、見たことのない絵ができそうです。

でたらめに並べてみる

横60×縦40点に縮めた猫の写真です。「でたらめ」を押すと、7200個の数字を全部でたらめに選び直します。何度か押して、何かの形が見えるか試してみてください。

何度押しても、砂嵐

暗い部屋の古いブラウン管テレビ。画面いっぱいに白と黒の細かい点がざらざらと映っている
AIで生成した画像

猫の写真と同じ7200個の数字なのに、何度押しても映るのはテレビの砂嵐のようなざらざらだけです。

でたらめな数字が作るこの模様をノイズと呼びます。

並べ方は、何通り?

色のままだと数が大きすぎるので、白か黒の2色、縦横8マスの絵で並べ方を数えます。

マスが1つ増えるたびに並べ方は2倍。64マスで約1844京通りです。

2×2マスの並べ方

問題:白か黒の2色だけで、縦横2マス(全部で4マス)の絵を描きます。白黒の並べ方は、全部で何通りあるでしょう。

  1. 16通り(正解)
  2. 8通り
  3. 4通り

解説:1マスごとに白か黒の2通りなので、2×2×2×2で16通りです。マスが1つ増えるたびに、並べ方は2倍になります。

1秒に10億枚でも、585年

白黒8×8マスの約1844京通りを、1秒に10億枚ずつ試しても、見終わるまで約585年かかります。

色を使うと同じ8×8マスでも並べ方は約10の462乗通り。1のあとに0が462個も並ぶ数です。

写真は、隣どうしが似ている

では、絵らしい並びとは何でしょう。猫の写真では、隣り合う点の数字の差は平均約6です。

壁は壁どうし、毛は毛どうしで似た数字が続くからです。でたらめだと、差は平均約85にもなります。

写真から取った5点

問題:横に並んだ5つの点の、赤の数字です。写真から取り出した並びはどれでしょう。

  1. 180、183、185、184、188(正解)
  2. 12、201、87、250、33
  3. 0、255、0、255、0

解説:写真では、隣り合う点の数字がほとんど同じです。180、183、185、184、188は、隣との差がどれも5以内です。

そろう確率は、すぐ消える

「隣との差が16以内」を絵らしさの目安にすると、猫の写真では約9割のペアが満たします。

でたらめな赤の数字で2点がそろうのは約8回に1回。横に8点全部そろうのは約190万回に1回です。

○か✕か

○か✕か:数字をでたらめに決めて絵を作ることを100万回くり返せば、1回くらいは猫の顔のような絵が出てくる。

答え:✕。出てきません。横に8点そろうだけで約190万回に1回、縦横8マスなら10の50乗回に1回もありません。猫の顔は、それよりずっと珍しい並びです。

絵には、決まった並び方がある

隣どうしが似ていて、色が大きく変わるのは物の境目だけ。数字のこうした決まった並び方をパターンと呼びます。

ただ、隣が似ているだけではぼやけた塊になります。猫らしい並び方は、簡単なルールでは書ききれそうにありません。

今日わかったこと

  • 画素1つは赤・緑・青の3つの数字。数字を決めれば色が決まる
  • 数字をでたらめに決めると、何度やっても砂嵐のようなノイズになる
  • 並べ方は白黒8×8マスでも約1844京通り。絵らしい並びは、そのごく一部
  • 絵らしい並びには、隣どうしが似ている、などのパターンがある

総仕上げ

問題:画像の数字を全部でたらめに決めると、何度試しても砂嵐のような絵しか出ません。なぜでしょう。

  1. 絵らしいパターンを持つ並びが、全体のごく一部だから(正解)
  2. でたらめに選べる数字が、0〜255に限られているから
  3. でたらめに選ぶと、どの点も灰色に近い色になるから

解説:おつかれさまでした。絵らしい並びは、並べ方全体のほんの一部でした。では、AIはどうやって猫らしいパターンを身につけるのでしょう。「耳が三角でひげがある」とルールを書いても、猫の写真は見分けられません。次は、定義を教わらずに大量の例から特徴を拾う仕組みを見ます。

用語

画素(Pixel)
画像を作っている小さな色の点。1つの点は、赤・緑・青の光の量を表す3つの数字でできています。
ノイズ(Noise)
でたらめな数字が並んでできるざらざらした模様。テレビの砂嵐のように見え、形は何も映っていません。
パターン(Pattern)
数字の並び方に見られる決まった傾向。写真なら「隣り合う点の数字が似ている」などがあります。