確かめただけで、色が変わる
「量子物理学入門」のレッスン 1 / 10・約2分
白と確かめた電子を、別の箱に通してから調べ直すと、半分が黒になります。量子力学とは何かを、この実験1つで体験します。
このレッスンで学ぶこと
- 確かめると、答えが決まっていない状態になる
レッスンの内容
目に見えない小さな粒
スマホのメモリも部屋のLEDも、実は中で電子という小さな粒が働いています。
こうした極小の粒のルールを量子力学と呼びます。私たちの常識とはまるで違う世界です。
色の箱と、硬さの箱
MITの講義の最初の実験です。電子には色(白か黒)と、硬さ(硬いか柔らかい)の2つの性質があります。
色の箱は白と黒の出口へ、硬さの箱は硬いと柔らかいの出口へ、電子を1個ずつ仕分けます。
白を、もう一度調べると?
問題:色の箱の白の出口から出た電子だけを集めて、もう一度同じ色の箱に通します。出てくる電子は何色でしょう。
- すべて白(正解)
- 白と黒が半分ずつ
- ほとんど白で、黒が少し
解説:白と確かめた電子ですから、もう一度調べても100%白です。当たり前ですよね。では、あいだに別の箱を挟むとどうなるでしょうか。
あいだに硬さの箱を入れると?
左は色の箱だけ、右はあいだに硬さの箱があります。白と確かめた電子が1個ずつ流れます。黒の受け皿を見比べてみましょう。
硬さを確かめると、色が決まらなくなる
硬さの箱を挟むと、白だった電子の半分が黒になりました。箱を精密にしても半々です。
箱に通して性質を確かめるのが測定です。硬さを測定すると、色は白か黒か決まっていない状態になります。
○か✕か
○か✕か:黒が出るのは箱の作りが粗いせいで、もっと精密な硬さの箱を使えば、電子は最後まで白のまま出てくる。
答え:✕。どんなに精度を上げても、結果は半々のままです。箱の問題ではなく、硬さを測定したこと自体で、色が白か黒か決まっていない状態になります。
目印は、どこにもない
黒になる運命の電子が混ざっていたのでは?物理学者も探しましたが、目印は見つかっていません。
どれが黒になるかはその瞬間まで本当に決まっていないのに、全体ではいつも半々になります。
私たちの直感の外側へ
MITのアダムズ教授いわく、電子が変なのではなく、私たちの直感がボールやトーストのような大きな物で育っただけです。
1個ずつは当てられなくても、半々という確率は正確に予言できます。それが量子力学の役割です。
今回のまとめ
- 量子力学は、電子のようなとても小さな粒のふるまいのルール
- 白と確かめた電子は、色の箱に何度通しても白のまま
- あいだで硬さを測定すると、色は白か黒か決まっていない状態になる
- どの電子が黒になるかは本当に決まっていない。それでも全体ではきれいに半々になる
仕上げの確認
問題:白と確かめた電子を、硬さの箱に通してからもう一度色の箱に通すと、黒が出ることがあります。その理由として最も適切なものはどれでしょう。
- 硬さを測定したことで、色が未定の状態になったから(正解)
- 最初の色の箱が、黒い電子を見落としていたから
- 黒になる電子にだけ、特別な目印が最初からあったから
解説:おつかれさまでした。確かめること自体が、直前に確かめた答えを白紙にする。これが量子の世界の入口です。このコースを進むと、LEDの色やスマホの写真が電源を切っても消えない理由まで、同じルールで説明できるようになります。次は、硬さの箱で分けた2本の道を確かめずに合流させます。道を1本ふさぐだけで、出なかったはずの黒が現れます。
用語
- 測定(Measurement)
- 装置を粒に触れさせ、ある性質の答えを引き出すこと。
- 電子(Electron)
- 原子の中にある、とても小さな粒。電気の正体でもある。
- 量子力学(Quantum mechanics)
- 電子や光の粒のような、とても小さなもののふるまいを決めているルール。日常の常識とは違う結果を出します。