意志が弱い人なんていない
「やる気に頼らない脳を作る方法」のレッスン 1 / 7・約3分
決意が2月に消えるのは、根性のせいではありません。脳のつくりから、挫折の正体を見ていきます。
このレッスンで学ぶこと
- 脳は経験で変わる
レッスンの内容
新年の誓いと2月の現実
「今年こそ運動を続ける」。米国で新年の誓いを立てた人を追った研究では、半年後も続けていたのは約46%でした(2002年)。
続かないのは、あなたの意志が弱いからではありません。脳の仕組みの話です。
大人の脳も変わり続ける
経験で、脳の形が変わる
ロンドンのタクシー運転手の脳は、記憶を司る海馬の後ろ側が大きく、運転歴が長い人ほどその傾向がありました(2000年)。
経験を重ねて脳が変わる性質を神経可塑性と呼びます。
「意志力は減る電池」説
「意志力は使うと減る」説を2016年に23研究室・計2,141人で検証すると効果はほぼゼロでした。意志に頼る考え方は見直せます。
意志力の神話
楽な坂と、きつい坂
なぜスマホは楽で筋トレは重いのでしょう。左と右を押してみてください。押した時間の差は、意志の差ではありません。
挫折の真の理由
問題:タクシー運転手の海馬は、何年もの運転で変化していました。この研究から考えると、新しい習慣が1か月で止まりがちなのはなぜでしょう。
- 脳が、何年も続けた生活に合わせてできあがっている(正解)
- 本人の意志力が、1か月で底をついてしまう
- 目標を、周りの人に話していなかった
解説:脳はくり返した行動に合わせて形を変えます。長年慣れ親しんだ脳の状態は、1か月では簡単にかわりません。
反復された回路が強化される
使う道が太くなる
脳は善悪を区別しません。毎晩スマホを見ればその神経回路が、読書をすればその回路が強化されます。
使う道は太くなり、使わない道は細くなる変化を見てみましょう。
脳の変化についての誤解
○か✕か
○か✕か:大人の脳の配線は一度できあがると、もう変わらない。
答え:✕。タクシー運転手の海馬のように、大人の脳も経験で変化します。だからこそ、新しい習慣も作れるのです。
挫折を終わらせる第一歩
続かないのは、意志ではなく脳の仕組み
- 大人の脳も、くり返した経験に合わせて形を変える
- 「意志力は使うと減る」説は、大規模な追試で確かめられなかった
- 脳は良い悪いを選ばず、くり返した行動の回路を育てる
神経可塑性の本質
問題:40歳で、新しい運動の習慣を始めたい人がいます。このレッスンの研究に合う見方はどれでしょう。
- くり返せば、40歳の脳もそれに合わせて変わっていく(正解)
- 40歳を過ぎた脳は、もうほとんど変わらない
- まず、減ってしまった意志力を鍛え直すのが先
解説:おつかれさまでした。大人の脳も、くり返しに合わせて変わります。このコースでは、スマホを置く場所ひとつで誘惑との戦いを減らす方法、練習した夜に眠る意味、1日サボっても積み上げが消えない理由を、実際の研究で見ていきます。次は、神経を包むミエリンという膜が、刺激すると増えたマウスの実験です。
用語
- 神経回路(Neural circuit)
- 神経細胞の通り道。よく使う道ほど通りやすくなる。
- 神経可塑性(Neuroplasticity)
- 経験や練習をくり返すことで、脳のつながりや形が変わる性質。大人の脳にもある。