髪に火がついた人に、レンガを売る

「シリコンバレー式起業メソッド」のレッスン 1 / 11・約2分

起業の最初の問いは「良いアイデアか」ではなく「誰の髪が燃えているか」。2分で、最初の客がどんな人かをつかみます。

このレッスンで学ぶこと

  • 最初の客は、髪が燃えている人

レッスンの内容

Y Combinatorとは?

宿探しのAirbnbや、出前のDoorDash。どちらも「Y Combinator」という起業の学校から生まれました。

この学校の講義でくり返し出てくる、ある1つの場面から始めましょう。

あなたの髪が、燃えています

駅のホームで、ふと気づくと自分の髪が燃えています。

隣の人が黙って差し出したのは、ホースでも消火器でもなく、レンガ1つでした。

レンガを、受け取りますか

問題:髪が燃えているあなたに、隣の人がレンガを差し出しました。どうしますか。

  1. 受け取って、それで頭を叩いて火を消す(正解)
  2. ホースを持ってきてほしいと頼んで、待つ
  3. レンガの品質や使い方を確かめてから決める

解説:髪が燃えている人は完璧な道具を待てません。不格好でも、今すぐ火を消せるなら手を伸ばします。

同じレンガを、2人に

同じレンガを渡された2人。どちらが手を伸ばすか見てみましょう。

起業家が探すのは、この人

手が伸びるかはレンガの出来ではなく、相手の困り具合で決まります。

今すぐ困っている人を髪に火がついた顧客といいます。Y Combinatorで長く創業者を指導したマイケル・サイベルが、講義で使うたとえです。

○か✕か

○か✕か:髪が少し濡れているだけの人も、丁寧に差し出せばレンガを受け取って使う。

答え:✕。濡れているだけなら困っていません。どれだけ丁寧に渡されても、レンガで頭を叩く理由がないので使いません。

レンガが先、ホースは後

まず渡すのはホースではなく、すぐ火を消せるレンガです。これをMVPと呼びます。ホースは後でつくれば十分です。

2分で、つかんだこと

  • 燃えている人は、不格好なレンガでも受け取る
  • 濡れているだけの人は、同じレンガでも受け取らない。決め手は相手の困り方
  • このコースでは、その一人を見つけ、話を聞き、レンガを渡し、増やす順番を、Y Combinatorの講義どおりにたどる

最初に言えるようにすること

問題:友人に新しいサービスのアイデアを話す前に、まず言えるようにしておきたいことは?

  1. どんな機能がそろっているか
  2. 誰が、どれだけ困っているか(正解)
  3. 競合より、どこが優れているか

解説:使われるかを先に決めるのは、製品の出来ではなく相手の困り方でした。このコースを終えるころには、自分の案の「燃えている人」を見つけ、20分の聞き取りを頼み、数週間で最初の版を出せるようになります。次は、毎朝行列ができるのにスタートアップとは呼ばれないパン屋の話から。週1%の伸びがなぜ「まだ何かが分かっていない」合図なのかも見ます。

用語

MVP(Minimum Viable Product)
燃えている人が使ってくれる、一番小さな製品。ホースではなくレンガです。
髪に火がついた顧客(Hair-on-fire customer)
今すぐ解決したい困りごとがある人。完成品を待たず、不完全なものでも使ってくれます。