目標ではなく、仕組みを変える
「意志力ゼロで習慣を変える方法」のレッスン 2 / 6・約6分
100年勝てなかった英国チームが5年で世界最強になった理由から、目標ではなくシステムを、そして変化の3つの層をつかみます。
このレッスンで学ぶこと
- 目標ではなくシステムが結果を分ける
レッスンの内容
110年、優勝ゼロのチーム
イギリスの自転車チームは110年もの間、ツール・ド・フランスで勝てずにいました。
2003年に就任したブレイルスフォード監督は、タイヤの拭き方から手洗いや枕まで、1%の改善を積み重ねました。
5年後、金メダルの6割
5年後の北京五輪で、チームは自転車競技の金メダルの60%を獲得。2012年からの6年で、ツールも5回制覇しました。
ブレイルスフォードはこの手法を小さな改善の積み重ねと呼びました。
来月のプレゼンで、ブレイルスフォードのやり方をまねするなら、
問題:来月のプレゼンで、ブレイルスフォードのやり方をまねするなら、どれが近いでしょう。
- 文字の大きさや話す速さなどを、少しずつ何十か所も直す(正解)
- これぞという決めの1枚に、準備の時間をすべてかける
- 本番の前に、とにかく気合いを入れて自分を奮い立たせる
解説:英国チームは、タイヤや手洗い、枕など、小さな改善をあらゆる所で重ねました。プレゼンなら、細部を少しずつ整えていく形になります。
勝者も敗者も、同じ目標を持っている
「金メダル」という目標は選手全員が持っていますが、手にできるのはごく一部です。
『Atomic Habits』の著者ジェームズ・クリアーは、目標だけでは勝敗は分かれないと指摘します。
片づけた部屋は、また散らかる
クリアーの例です。部屋を気合いで大掃除したとします。
でも散らかす習慣がそのままなら、すぐ元通り。目標の達成は、一瞬の変化にすぎません。
○か✕か
○か✕か:高い目標を決めれば、そこへ向かう毎日の行動も自然に変わっていく。
答え:✕。部屋を掃除しても、散らかす行動が同じなら元に戻ります。目標を決めるだけでは、毎日の行動は勝手に変わりません。
ゴールした日に、走るのをやめる
クリアーは、大会に向けて何ヶ月も練習した人が、完走した途端に走らなくなる例を挙げます。
目標は達成した瞬間に、続ける理由まで消してしまうのです。
目標ではなく、仕組みの高さ
クリアーは言います。人は目標の高さまで上がるのではなく、システムの高さまで落ちる、と。
システムとは、成果に向かって毎日くり返す手順のことです。
TOEICで800点を目指す2人がいます。クリアーの考えでは
問題:TOEICで800点を目指す2人がいます。クリアーの考えでは、半年後に差がつきやすいのはどちらの人でしょう。
- 通勤電車で毎朝10分、単語アプリを開くと決めた人(正解)
- 目標を900点に上げ、壁に大きく書いて貼った人
- 800点を取った自分を、毎晩寝る前に思い描く人
解説:目標の高さを変えても、毎日の行動は変わりません。電車で毎朝10分という手順が決まっている人は、その手順の高さまで積み上がっていきます。
営業目標120%の職場で
「今期は売上120%」という目標は、営業部全員に同じように与えられます。
差がつくのは、毎朝誰に何件電話するか、商談後に何を記録するかという毎日の手順です。
今日の学び
- 英国チームは、タイヤや手洗い、枕など1%の改善を積み重ねた
- 目標は全員が持っている。部屋を片づけても行動が変わらなければ元に戻る
- 人は目標の高さではなく、システムの高さまで落ちる
- 目標を上げる前に、毎日くり返す手順を1つ決める
「今年こそ5キロ痩せる」と決めました。クリアーの考えで、次に
問題:「今年こそ5キロ痩せる」と決めました。クリアーの考えで、次に決めるべきことはどれでしょう。
- 毎日、何をどう食べ、いつ体を動かすか(正解)
- 何月までに、何キロずつ落としていくか
- 達成できたら、自分に何をごほうびにするか
解説:5キロは結果であり、毎日の行動は決まっていません。何をどう食べ、いつ動くかを決めて初めてシステムになります。では、同じ手順を決めても続く人と戻る人がいるのはなぜか。次は、タバコを「禁煙中なんです」と断る人と「吸わないんです」と断る人の違いから、続く人の土台を見ていきます。
用語
- システム(System)
- 成果に向かって毎日くり返す手順のこと。目標と違って、達成しても終わりになりません。
- 小さな改善の積み重ね(Aggregation of marginal gains)
- 1つ1つは1%ほどの小さな改善をあらゆる所で重ねる手法。英国の自転車チームのコーチ、ブレイルスフォードが名付けた戦略。