集中できない本当の理由

「たった1時間で人生を立て直す方法」のレッスン 2 / 7・約7分

集中できない理由をエントロピーの比喩でつかみ、整える入口を短く学びます。

このレッスンで学ぶこと

  • 注意は小さなメモリ
  • 心が散らかる理由

レッスンの内容

1日1時間で、足りるのか

仕事や家事、子育て。自由に使えるのは1日1時間くらい、という方も多いですよね。

Dan Koeは、それで十分だと言います。1日1時間でも、1年で365時間になるからです。

365時間は、どれくらいか

365時間は、1日8時間労働なら約46日分にあたります。

2か月以上、フルタイムで1つのことに集中するのと同じ量です。

○か✕か

○か✕か:人生を変えるには、まず作業時間を大幅に増やす必要がある。

答え:✕。1日1時間でも1年で365時間になります。足りないのは時間の長さではなく、その1時間を何に使うかが決まっていないことです。

脳はコンピューター、注意はメモリ

Dan Koeは、脳をパソコン、注意を作業用のメモリにたとえています。

アプリを開きすぎると重くなるように、気がかりを抱えすぎると頭の動きも鈍くなります。

意識に入るのは、ほんの少し

2024年の研究によると、目や耳に届く情報は毎秒約10億ビット。

そのうち、人が考えて行動に使えるのは毎秒約10ビットしかありません。

RAM使用率

メモリの使用率

気がかりを足してみてください。本命に使える青がどれくらい減るかを見ます。

重くなる理由

問題:気がかりを放置していると、本命の仕事で力を出せないのはなぜでしょう。

  1. 気がかりのほうが、本命より難しい作業だから
  2. 本命に回せる領域が、先に埋まった分だけ減っているから(正解)
  3. 気がかりを思い出すたびに、体力が削られるから

解説:扱える量は決まっています。気がかりが先に領域を使うため、本命に残る分が減ってしまいます。

注意を横取りする4つ

Dan Koeは注意を奪うものとして、過去の後悔、将来の不安、気晴らし、やりかけのことの4つを挙げます。

どれも意識を目の前から逸らしてしまいます。

放っておくと散らかる

物理にはエントロピー増大の法則があります。外から手を加えない限り、粒の並びは乱れる方向にしか進みません。

整った並び方より、乱れた並び方のほうが圧倒的に多いからです。

隔壁を外す

仕切りを外して観察してみてください。放っておいて元の整列に戻るかを見ます。

本棚が崩れる理由

5冊の並べ方は120通り。順番通りになるのは1通りだけです。

適当に戻すと整いません。きれいな状態を保つには、整える力が必要です。

心も同じように散らかる

心理学者チクセントミハイは、目標を邪魔する情報で心が乱れる状態を精神的エントロピーと呼びました。

このとき私たちは、不安や心配、退屈といった感覚を覚えます。

○か✕か

○か✕か:集中が続かないのは、気合いが足りないからだ。

答え:✕。散らかるのは、気合いの問題ではなく自然な成り行きです。整えるには、押さえ込む力とは別のものが要ります。

散らかりを止めるもの

では、何が心を整えるのでしょうか。Dan Koeの答えは明確さです。

何を、なぜ、どうやるかが決まると、注意は1つの場所に集まります。

やる気はあるのに、机に向かうと注意があちこちに散ります。Dan Koeの見立てで、根本の原因はどれでしょう。

問題:やる気はあるのに、机に向かうと集中が散ってしまいます。Dan Koeが考える根本の原因はどれでしょう。

  1. 何を、なぜやるかが決まっていない(正解)
  2. 1日に使える時間が足りていない
  3. 周りの誘惑が昔より強くなった

解説:行き先が決まっていないと、注意は不安ややりかけのことに流れてしまいます。時間を増やしても、散らかる時間が増えるだけです。

集中できない本当の理由

  • 1日1時間でも、1年で365時間になる
  • 注意はメモリ。意識が扱える量はごくわずか
  • 放っておくと、本棚も心も散らかる
  • 散らかりを止めるのは、何を・なぜ・どうやるかの明確さ

総仕上げ

問題:1日1時間を確保できたとして、その1時間を最初に何へ使うべきですか?

  1. とにかく手を動かして、作業量を積み上げる
  2. 何を、なぜ、どうやるかを1つに決めきる(正解)
  3. 睡眠を削って、使える時間をもう1時間増やす

解説:決まらないまま動かした手は、気がかりのほうへ流れていきます。行き先が1つに決まると、同じ1時間の重さが変わります。おつかれさまでした。では、決めた1時間を、時間を忘れるほどの没頭に変えるには何が要るのか。次は、難しさの「ちょうどいい」帯をスライダーで探し、集中に入る3つの材料を見ていきます。

用語

注意(Attention)
いま何に意識を向けているか。パソコンのメモリのように、同時に扱える量には上限がある。
明確さ(Clarity)
何を、なぜ、どうやるかが明快な状態。注意を1つの目標に集中させます。
やりかけのこと(Open loops)
始めたのに終わっていない用事。片づくまで、頭の片すみで注意を使い続ける。
精神的エントロピー(Psychic entropy)
目標とぶつかる情報が入って意識が乱れた状態。不安や心配、退屈として感じられる。チクセントミハイが提唱。
エントロピー増大の法則(Second law of thermodynamics)
外から手を加えない限り、乱雑さは減らないという物理の法則。乱れた並び方のほうが、整った並び方よりずっと多いため。